(ハンカチの柄はこちらにお任せください。)
子供のころ、春はどちらかというと嫌いな季節でした。学年末、新学期、クラス替え、新しい先生友達、新しいことがたくさん詰まったこの時期は、想像するだけでどきどきしておなかも痛くなりました。季節の変わり目はアレルギーで体調もよくなかったこともあって、きらきらと光が溢れる季節とは裏腹に気持ちは沈みました。桜やらお花見やら、街のちょっと浮かれた空気にも馴染めずにいました。きっと私のように感じている人もいるのではと思います。
学校もなくなり、年を重ねるにつれ、春が好きになってきました。長い眠りから覚め、命が芽吹き、光に溢れ、空気もエネルギーに満ちた春。ひとつの動物にかえって、美しい季節に身をゆだねていることを素直にうれしく感じます。
まっさらなハンカチを広げるようにすがすがしい春。みんなのいろんな思いを乗せて、季節は前に進んでいきます。気がつけば、新しいクラスにも慣れ、新しい友達ができ、笑いあっている。甘酸っぱくてほろ苦いフランボワーズチョコレートのような春はとおりすぎ、そのころには初夏を迎えているのかもしれません。そして、思い出になった今は、春がくるたびにそのきゅんとした甘酸っぱさを思い出します。そして、甘いだけでないその甘酸っぱさがいい思い出になっているのを感じます。
+ ご紹介したお品物
・ 銀のさじのブローチ
・ ミニチュアの木靴