
使い古された風合い、左右に離れた目、ちょこんと座ったところ、パグのようなどうにも微妙なバランス。手前のテーブルには、きれいな状態のビンテージのテディベアが二体置かれていたけれど、遠くから見つけて、私が吸い寄せられるように手に取ったのはこの子でした。私がこの子を選ぶと、ベンダーの女性は
「この子、古びているけれど、かわいいでしょ。」
とうれしそうに言って、お互いに秘密を共有したような笑みを交わして包んでくれました。
改めて手にとってみると、この子もセルロイドのような瞳をしていました。私が惹かれるぬいぐるみはこの瞳を持っていることが多いです。人形もぬいぐるみも、いい目をしている子は美しく感じます。もしかしたら人間もそうなのかもしれませんね。
家に帰って、よく見ると、背中の手縫いのあとが背骨のように見えて美しく感じました。まあるい後姿もとても味わいがあります。
+ご紹介したお品物
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アンティークの犬のぬいぐるみ